伊佐 勝彦

スポーツファーマシスト

医療からスポーツへ
フィールドを超えて協働し、
次世代を担う
アスリートを支える。

縁

Job

現在の仕事内容

認定制度ができた2009年から
奈良県の公認スポーツファーマシスト第一号として活動しています。
もともと奈良県薬剤師会が運営する薬局で薬に関する県民相談を受けていたご縁から、奈良県の公認スポーツファーマシスト推進委員に選ばれ、私のスポーツファーマシストとしてのキャリアが始まりました。現在は奈良県選手団へのアンチ・ドーピング情報の提供や啓発をはじめ、学校教育の現場での講演、さらに全国のスポーツファーマシスト向けの研修会などへ参画しています。アンチ・ドーピングと言うと、アスリートに対して薬の使用を禁じるものというイメージをもたれるかもしれませんが、決してそうではありません。基本となるのは薬の適正使用。インターネットで調べると簡単に情報が出てくる時代だからこそ、適切な情報提供と代替薬の提案を行い、万全の状態で試合に臨めるようサポートしています。

伊佐 勝彦

Turning Point

薬剤師としての転機

私が薬剤師を志したのは、中学校時代に通っていた塾の先生が薬学部だったことがきっかけです。どんな質問をしても答えてくれる優秀な先生に憧れ、薬学部へ進学しました。そしていざ薬剤師国家試験を受けて就職しようと考えていた頃、転機が訪れます。脳に腫瘍が見つかったのです。勉強に専念できるような状況ではなく、一度目の国家試験は不合格でした。その後、手術を受けるために入院。手術は無事に成功しましたが、私と同じ手術を受けた患者さんの中には良い結果が得られない方もいました。その光景を目の当たりにして、医療のリアルを見た気がしました。そして、それまで漠然としていた薬剤師になるという目標が、この時「人のために薬剤師にならなければ」という使命感に変わりました。この経験があったからこそ、薬剤師として人のために仕事ができることのありがたみを常に感じられているように思います。

伊佐 勝彦

Value

薬剤師の仕事の価値

私が大切にしている考え方は様々な「縁」の中で、「円」をつなげられる薬剤師でいること。経営する薬局のミッションにも「えんむすび」を掲げています。私にとってスポーツファーマシストという肩書きも当初は与えられた職務でしたが、ご縁が広がり、今やスポーツ業界の方々と協働し、トップレベルの選手やトレーナーから直接相談を受けるまでになりました。過去に講習会に参加した選手がレベルアップして数年後「伊佐先生に教わったことが役立っています」と言ってくれたこともありました。薬学の専門知識は患者さんの治療のためだけではなく、高みを目指す人のさらなる活躍にも活かすことができます。目の前の困っている人からの「ありがとう」と、世界を目標に次世代を担う人からの「ありがとう」の両方を聞くことができる。薬剤師はそんな価値のある職業だと感じています。

PROFILE

伊佐 勝彦さん

株式会社ファーマCo-Lab/
お茶の間薬局 代表

資格
薬剤師、公益財団法人奈良県スポーツ協会
スポーツ医科学委員会委員
一般社団法人奈良市薬剤師会理事、
公認スポーツファーマシスト、学校薬剤師、
認定実務実習指導薬剤師、経営学修士(MBA)
伊佐 勝彦

未来の
薬剤師たちへ

学生時代のアドバイス
自分の殻に閉じこもったり既成概念にとらわれたりせずに、ちょっとだけ逸脱する考え方をしてみてほしいと思います。「こうあるべき」という考えを捨てたら新しいことに挑戦しやすくなるはずです。
薬剤師免許を取得したら
薬剤師という大きな柱に加えて、プラスアルファの柱を持っておくことが強みになります。医療業界だけではなく他業界と協働することで、視野が広がり、成長につながります。