佐久川 卓

DMAT

薬の知識を武器に
災害医療の最前線に立ち、
「薬剤師にできること」の
限界を超えていく。

挑戦

Job

現在の仕事内容

大学病院で薬剤師として勤務する傍ら、DMATという災害派遣医療チームに所属しています。
地震や水害などの災害が発生した際、被災地域の医療体制だけではまかないきれないと判断さ
れると、要請を受けたDMATが現場へ駆けつけます。
DMATの中で薬剤師は業務調整員と呼ばれ、その役割は多岐にわたります。例えば、必要な薬や物資の調達、症状に応じた薬の提案のほか、安全に現地へ向かえるよう情報収集したり、患者さんの搬送先を確保するのも大事な仕事です。
また、近年ではDMATの任務のひとつに新型コロナウイルス感染症対応が加わりました。私も病院での業務時間外には沖縄県庁のコロナ対策本部で自宅療養者の受診調整などを担当しています。爆発的な感染拡大や医療体制の逼迫、医薬品の不足は災害発生時と通ずるものがあります。災害現場での経験を活かし、医療支援に日々尽力しています。

佐久川 卓

Turning Point

薬剤師としての転機

あらゆる薬を熟知するジェネラリストとして、医療の最前線に立つ。
その誇りが私の薬剤師としてのモチベーションになっています。私はDMAT隊員資格だけではなく、心肺停止や呼吸停止に対する一次救命処置「BLS」のインストラクターや緩和薬物療法認定薬剤師の資格ももっています。
それぞれに高い専門性が求められる資格ではありますが、同時に薬に対する幅広い知識も必要です。各専門分野のスペシャリストである医師に対して、薬剤師はジェネラリスト。
医師が専門外の薬の知識を持っていない場合でも、薬剤師は患者さんのニーズや症状に応じて必要な薬を提案することができます。
災害現場でも病院でも「薬がなかったから救えなかった」ということがないよう、研修や訓練を重ね、技能を磨いていきたいと思っています。

佐久川 卓

Value

薬剤師の仕事の価値

諸外国と比べて日本は薬剤師の数が圧倒的に多いといわれています。
一方で医師に大きな負担がかかっているため、他の医療職へ業務をシフトしていく流れになってきています。さらに、調剤など薬剤師が担ってきた業務の一部はすでに機械化されつつあります。そんな中、求められているのは医療に主体的に関わっていける薬剤師。薬剤師が担う業務は今後ますます幅広くなっていくと考えられます。
例えば、以前は急変時の救命処置を医師や看護師に任せる風潮がありましたが、現在では薬剤師も蘇生ができることが望ましいとされています。これまで薬剤師にはできないと思われていた業務が可能になり、訪問医療や被災地医療などの現場に出ていく機会も増えるのではないかと思います。「薬剤師にできること」の限界を決めつけずに、今後も可能性を追求していきたいです。

PROFILE

佐久川 卓さん

琉球大学病院 薬剤部主任

資格・認定・所属学会等
資格・認定・所属学会等:薬剤師、日本DMAT隊員 業務調整員、日本緩和医療薬学会認定 緩和薬物療法認定薬剤師、
日本緩和医療薬学会認定 麻薬教育認定薬剤師、アメリカ心臓協会 BLSインストラクター、日本救急医学会 ICLSインストラクター
佐久川 卓

未来の
薬剤師たちへ

学生時代のアドバイス
今後、薬剤師は今以上に可能性が広がっていく職業だと思います。一つずつできることを増やし、その中で自分だけの強みを見つけてほしいですね。
薬剤師免許を取得したら
免許取得はゴールではなく、スタートです。自身の経験や今置かれている環境、興味関心から専門性を高めていっていただけたらと思います。