Job
現在の仕事内容
救急現場には心肺停止や中毒、外傷など一刻を争う患者さんが来られます。
そんな患者さんの薬歴や服用薬の化学的メカニズムをもとに医師へアドバイスを行うのが私たちの役割です。例えば、先日も心肺停止の患者さんの対応を経験しました。初めは原因が分からずにいましたが、薬歴を見て中毒を疑い、医師にその可能性と治療方法を提案。
結果的にやはり中毒が原因で心肺停止となっていたことが判明しました。救急現場での業務は薬剤師だけで完結できるものではありません。
しかし、様々な指示が飛び交う中、「薬に関することは薬剤師に任せる」という体制が整っていることで、現場はスムーズに救急対応に臨むことができます。
医師や看護師、技師と対等にコミュニケーションをとり、ともに現場を乗り越える。そんなやりがいのある仕事だと感じます。
Turning Point
薬剤師としての転機
私にとっての転機は当院で働き始めて2年目の頃。急変時対応に薬剤師が必要な薬剤を持って駆けつけるようになったことです。それまで薬剤師がいなくてもまわっていた現場に足を踏み入れていいのか、果たして自分が役に立てるのかと当初は怖さも感じていました。ところが、実際に急変時対応を行ってみると薬剤師が少し手を貸すことで現場の動きがよりスムーズになることを実感できたのです。
その頃から、目の前で苦しんでいる患者さんがいた時、薬剤師だから助けられないというのは医療者のひとりとしてどうなんだろうと考えるようになりました。救急現場において毎回100点満点の対応ができると自信をもって言える人は医師や看護師でも少ないと思います。
けれど、「これで良かったのか」と悩みながらも毎回患者さんのもとへ駆けつけることで、着実に経験値が上がり、救急対応へのハードルは下げられると考えています。
Value
薬剤師の仕事の価値
薬学や医学の教科書には正解が書いてありますが、それがリアルタイムでの正解とは限りません。薬の効果や調剤が複雑化する中、常に知識をアップデートしていく必要があります。また、医療のあり方も多様化してきており、病気を治すことを目的としている人、痛みや症状を緩和したいという人など患者さんによって求めることが異なります。
私は薬剤師になってもうすぐ20年が経ちますが、年齢や経験を重ねて、ようやくちょっとした表情や仕草からその人の想いを読み取れるようになってきました。患者さんが今どんな想いを抱えているのか、患者さんにとってより良いバランスとはどのようなものか。一人ひとりの想いや人となり、社会的な背景も含めてチーム医療で議論することが大事だと感じます。
その一員として薬剤師も他職種とは異なる視点で意見を発信していけたらと思っています。