実践医療薬学講座

講座紹介

薬を適正かつ安全に使用することは、薬剤師に課せられた重要な仕事のひとつです。しかし、臨床現場では、エビデンスがないにも関わらず経験的に実施されていることが多くあります。実践医療薬学講座では、これら臨床現場で起こりうる様々な薬学的問題点を探り、薬剤師の目線で、薬を適正かつ安全に使用できる解決法を探索しています。

スタッフ

教授 名德 倫明 准教授 初田 泰敏 助教 面谷 幸子

所属学生

  • 6回生:4名
  • 5回生:9名
  • 4回生:8名

研究詳細

1)臨床栄養に関する研究

医療現場での患者さんの多くは、栄養状態が悪く、そのため、輸液や経腸栄養剤にて栄養を補給しています。しかし、栄養を投与する上で、多くの問題が発生します。そこで、配合変化の問題、薬剤と栄養剤(特に半固形化経腸栄養剤)との相互作用等を解決していきます。

①脂肪乳剤との配合変化

脂肪乳剤は栄養輸液との混合により、脂肪乳剤の粒子径増大による配合変化が起こります(写真)。一方、脂肪乳剤と栄養輸液の混合時間が短いため、栄養輸液投与ルートの側管から脂肪乳剤を同時に投与する場合があります。しかし、栄養輸液以外にも他の治療薬が脂肪乳剤の粒子径変化に影響を与える可能性があります。そこで、他の治療薬の脂肪乳剤の粒子径変化への影響を検討しています。

②半固形化経腸栄養剤と薬剤との相互作用

経腸栄養法の合併症である消化器合併症や誤嚥性肺炎などを予防する目的として、半固形化経腸栄養剤を使用する施設が増えています。半固形化経腸栄養剤は増粘剤として食物繊維を含有するため、薬剤の溶出や食物繊維への薬剤の吸着が予測されます。そこで、食物繊維や半固形化経腸栄養剤における薬剤投与への影響について検討しています。

2)感染制御に関する研究

①抗菌薬感受性試験データの解析

医療現場では感染が大きな問題となっており、適正な抗生剤等の使用が非常に重要です。病院施設で蓄積された抗菌薬感受性試験のデータを解析するソフトウェアを開発し、医療現場において抗菌剤の適正使用に役立てていただいています。

②輸液投与における微生物汚染の影響についての評価

静脈栄養法の問題点とされるカテーテル由来血流感染症の原因として、手指との接触等によるカテーテルやカテーテルハブの汚染や輸液の汚染等があげられます。末梢静脈栄養輸液では、Staphylococcus aureusの増殖はチアミン塩酸塩およびニコチン酸が、Candida albicansはビオチンが関与していることが明らかとなりました。全ての輸液の調製は、無菌が保たれる場所で調製する必要がありますが、特に末梢静脈栄養輸液では、薬剤師が無菌調製をしないで投与される場合も多く見受けられるため、注意が必要です。そこで、輸液の微生物汚染の影響について評価し、適正な使用方法を模索します。

3)薬剤師活動支援のためのソフトウェア・教育用アプリケーションの開発に関する研究

薬剤師の活動を支援するソフトウェアや教育用アプリケーションの開発も行っています。例えば、友達と楽しみながら医薬品に関する知識を学習できるゲームを作成しました。3名の学生の共同作業による卒業研究として開発したもので、ルールはUNOゲームを参考にしています。読み込むデータを差し替えることによってカードに表示される医薬品を変更することができるので、様々な分野の医薬品の学習が可能です。Javascript, HTML, CSSなどWebの技術を使っているので、特定のPCにインストールすれば、同じネットワーク上の他のPCやiPadなどからブラウザを介してゲームに参加できます。

4)医療現場での問題解決並びに必要となる研究

医療現場では様々な問題が発生し、それを解決していかなくてはなりません。そこで、様々な施設と共同研究を行うことで、医療現場での問題を解決します。

主な研究業績

2019年度

  • Nagai K, Omotani S, Ito A, Nishimura I, Hatsuda Y, Mukai J, Teramachi H, Myotoku M. Alterations in Pharmacokinetics of Orally Administered Carbamazepine in Rats Treated with Sodium alginate: Possible Interaction between Therapeutic Drugs and Semi-solid Enteral Nutrients. Drug Research, 69, 168-172, 2019
  • 向井淳治,面谷幸子,初田泰敏,名徳倫明.PTPシートの切り離しによる大きさの違いの認識性の変化の検討.医療薬学,45(8),433-440,2019
  • Hatsuda Y, Maki S, Ishimaki Y, Nagai K, Omotani S, Mukai J, Taniguchi M, Myotoku M. Development of a New Correlation Diagram to Visualize the Trends of Antimicrobial Cross-resistance. International Journal of Biomedical Soft Computing and Human Sciences, 24(1), .39-48, 2019
  • Nagai K, Omotani S, Shibano M, Kobayashi A, Ito A, Nishimura I, Hatsuda Y, Mukai J, Teramachi H, Myotoku M. Effects of semi-solidification of enteral nutrients on the pharmacokinetic behavior of orally administered carbamazepine in rats. Int J Med Sci, 16(9), 1283-1286, 2019
  • Urashima Y, Urashima K, Ohnishi M, Matsushita K, Suzuki K, Kurachi K, Nishihara M, Katsumata T, Myotoku M, Ikeda K, Hirotani Y. Interaction between phenytoin and enteral nutrientsand its influence on gastrointestinal absorption. Pharmazie, 74, 559-562, 2019
  • Nagai K, Fukuno S, Omachi A, Omotani S, Hatsuda Y, Myotoku M, Konishi H. Enhanced Anti-cancer Activity by Menthol in HepG2 Cells Exposed to Paclitaxel and Vincristine: Possible Involvement of CYP3A4 Downregulation. Drug. Metabol Pers Ther, 34(1), in press, 2019

2018年度

  • Hatsuda Y, Maki S, Ishimaki Y, Nagai K, Omotani S, Mukai J, Taniguchi M, Myotoku M, Okada A, Imaizumi T. Data Analysis of the Cross-Resistance Rate between Antimicrobials by Nonmetric Asymmetric Multidimensional Scaling. International Journal of Biomedical Soft Computing and Human Sciences, 23(2), .59-68, 2018
  • Omotani S, Aoe M, Esaki S, Nagai K, Hatsuda Y, Mukai J, Teramachi H, Myotoku M. Compatibility of Intravenous Fat Emulsion with Antibiotics for Secondary Piggyback Infusion. Ann Nutr Metab, 73(3), 227-233, 2018
  • 向井淳治,岸本典子,坂本竜平,竹原涼子,名徳倫明,奥田広志.内服薬処方せんの1回量記載に対する医師の抵抗感と情報提供による意識変化の検討.医療薬学,44(9),471-477,2018
  • 高子優子,細見健悟,久井裕美子,杉田裕貴,小牧佐知子,稲田智子,増本憲生,大槻裕朗,岡本禎晃,金啓二,名徳倫明.抗がん薬のバイアル内圧の記載に関する兵庫県下67病院における薬剤師の意識調査.医療薬学,44(7),363-369,2018
  • 面谷幸子,井上美樹,安井友佳子,初田泰敏,名徳倫明,石坂敏彦.プレアボイド報告の解析からみえてくるリスクマネジメントへの薬剤師の関わり.堺市立総合医療センター医学雑誌,18,134-138,2018
  • 面谷幸子,石坂敏彦,井上美樹,安井友佳子,長井克仁,初田泰敏,向井淳治,名徳倫明.高齢者におけるファーマシューティカルケアの重要性-当院からのプレアボイド報告の解析からみえてくるもの-.医薬品情報学,20(1),12-19,2018
  • 廣谷芳彦,岡本知佳,大竹由起,川須菖,川口莉菜,浦嶋庸子,名徳倫明,池田賢二.地域住民を対象とした糖尿病に対する意識調査とHbA1c測定チェックの意義に関する検討.日本未病システム学会雑誌,24(1),10-18,2018
  • Nagai K, Fukuno S, Otani K, Nagamine Y, Omotani S, Hatsuda Y, Myotoku M, Konishi H. Prevention of Doxorubicin-Induced Renal Toxicity by Theanine in Rats. Pharmacology, 101(3-4), 219-224, 2018
  • Omotani S, Tani K, Aoe M, Esaki S, Nagai K, Hatsuda Y, Mukai J, Teramachi H and Myotoku M. Bactericidal effects of deep ultraviolet light-emitting diode for solutions during intravenous infusion. Int J Med Sci, 15(2), 101-107, 2018
  • Nagai K, Omotani S, Otani M, Sasatani M, Takashima T, Hatsuda Y, Mukai J, Myotoku M.In vitro and in vivo effects of fibers on pharmacokinetics of orally administered carbamazepine: possible interaction between therapeutic drugs and semi-solid enteral nutrients.Nutrition, 46(1), 44?47, 2018
  • Fukuno S, Nagai K, Kasahara K, Mizobata Y, Omotani S, Hatsuda Y, Myotoku M, Konishi H.Altered tolbutamide pharmacokinetics by a decrease in hepatic expression of CYP2C6/11 in rats pretreated with 5-fluorouracil.Xenobiotica, 48(1), 53-59, 2018

2017年度

  • Omotani S, Tani K, Nagai K, Hatsuda Y, Mukai J, Myotoku M.Water soluble vitamins enhance the growth of microorganisms in peripheral parenteral nutrition solutions.Int J Med Sci, 14(12), 1203-1219, 2017
  • 岩本千晶,田河みゆき,面谷幸子,初田泰敏,廣谷芳彦,名徳倫明.大阪府下病院における病棟薬剤業務実施加算新設による栄養管理業務への薬剤師関与の変化.日本静脈経腸栄養学会雑誌,32(4),1340-1347,2017
  • 向井淳治,面谷幸子,長井克仁,初田泰敏,名徳倫明.薬学部6年次生の考える将来ビジョンと大学授業における情報提供の検討.医療薬学,43(8),465-473,2017
  • 名徳倫明,秋山紗奈江,松浦亜梨紗,面谷幸子,長井克仁,初田泰敏,向井淳治,廣谷芳彦.経腸栄養剤に使用する食物繊維及び半固形化材へのフェノバルビタールの吸着の影響.医療薬学,43(8),438-443,2017
  • Myotoku M, Omotani S, Hatsuda Y, Konishi H, Hirotani Y.Enhanced Understanding of the Levels of Palliative Care in Pharmacy Students Through Participating in Clinical Training in Hospitals.J Pharm Pract, 30(3), 313-317, 2017
  • 名徳倫明.臨床施設での研修及び臨床研究の重要性.薬学雑誌,137(1),13-16,2017

2016年度

  • 廣谷芳彦,川村仁美,向井淳治,浦嶋庸子,池田賢二,名徳倫明.後発医薬品に関する市民啓発講演後のアンケート調査研究.社会薬学,35(2),87-93,2016
  • 名徳倫明,公文育実,小林布美恵,和田奈津那,瀬名波宏昌,岩本千晶,田河みゆき,面谷幸子,長井克仁,初田泰敏,廣谷芳彦.大阪府下病院における経腸栄養剤の使用状況と経腸栄養剤施用患者への薬剤投与実態に関する現状調査.医療薬学,42(5),364-372,2016
  • 廣谷芳彦,中村茉由梨,川村仁美,浦嶋庸子,池田賢二,名徳倫明.介護施設入居者の薬剤使用特性に関する実態調査.薬局薬学,8(1),121-128,2016
  • 面谷幸子,名徳倫明,山城美樹,長谷川渚彩,大橋甲三郎,長井克仁,西井諭司,初田泰敏,小川雅史.アドレナリン自己注射薬に関する教育現場での認識調査と学校薬剤師の現 状と役割.医療薬学,42(1),31-39,2016

2015年度

  • 廣谷芳彦,川村仁美,中村茉由梨,浦嶋庸子,名徳倫明.介護施設入居者の薬剤使用に関する現状と課題.癌と化学療法,42(SupplⅠ),43-44,2015
  • 瀬名波宏昌,名徳倫明,冨田由美,村山洋子,中西晶子,岩本千晶,田河みゆき,畑暁子,小角麻衣,小畑紋菓,川口進一.複合診療科病棟における病棟常駐後の薬剤師の医療安全への介入状況の変化に関する調査.YAKUGAKU ZASSHI,135(9),1069-1076,2015
  • 名徳倫明,浦嶋庸子,廣谷芳彦.薬学部5年次学生での病院実務実習後の栄養管理教育に関する効果.日本静脈経腸栄養学会雑誌,30(4),983-986,2015
  • Hirotani Y, Ozaki N, Tsuji Y, Urashima Y, Myotoku M.Effects of eicosapentaenoic acid on hepatic dyslipidemia and oxidative stress in high fat diet-induced steatosis.International Journal of Food Sciences and Nutrition , 66(5), 569-573, 2015
  • 廣谷芳彦,原口清美,向井淳治,槙本和加子,浦嶋庸子,名徳倫明.在宅医療研修会に参加した地域薬局薬剤師に対する研修会の効果とその影響.医療薬学,41(4),266-274,2015
  • 名徳倫明,松山達登,梅谷亮介,中村紗矢香,岡隆志,北出尚子,浦嶋庸子,廣谷芳彦.リドカインを含有したポラプレジンク・アルギン酸ナトリウム含嗽液の製剤学的安定性の評価.癌と化学療法,42(2),207-210,2015