英文学科 1987年卒業上田 眞理砂[うえだ まりさ]:(立命館大学 経済学部 教授)

大阪大谷大学(大谷女子大学)でどんな学生時代を過ごされましたか?印象的だったことをエピソードとしてご紹介ください。

大学時代を振り返ってみると、決して真面目な学生ではありませんでした。必修だった体育も出席が足りず、4回生で、まだ履修していました。自業自得なのに、回生ごとに色の違う体操服がとても恥ずかしかったのを記憶しています。

講義でも、悪友から頼まれ、次々と声色を変え、複数の代返をしたり、学びの場に相応しくない極端に短いスカートを履いて最前列に座り、男性教員の挑発に失敗し(笑)、「そんな格好で大学に来るんじゃあない!」と、至極全うなお叱りを受けたりもしました。何を考えて生きていたのか?と思います。

ただ、将来、教員になりたいという強い気持ちがありましたので、教職課程で学んでいました。

現在、取組まれていらっしゃることは何ですか?どんなことに興味関心をお持ちかなど、〈今〉についてお話しください。

現在、私は大学で英語の教員として勤務しており、専門は応用言語学と認知科学の領域におけるリスニングです。リスニングを、単に「英語で聞いて内容を理解すること」と、とらえるのではなく、「人間の英語音声による情報処理」ととらえ、学習者の能力に応じたストラテジー(戦略、方略、コツ、裏技、作戦といった意味)を指導しています。このストラテジーは、リーディングにも適用や応用可能であるため、リーディングのクラスでもストラテジーの指導をしています。

大学時代、決して優秀な学生ではなかった私ですが、どの先生も本当に一生懸命、とても丁寧に教えていただきました。その経験が、今の私の、大学の教員としての礎となっています。

今後、ライフワークとして取り組まれたいことを語ってください。

「中学・高校におけるリスニング指導法の改良」と「英語教員指導要領にリスニング指導法を加えること」です。文部科学省の英語教員指導要領にリスニング指導法が含まれていないことから、リスニングの誤答原因や対処法を自信をもって指導できる教員は多くありません。「人間の情報処理」と「言語習得」に関する理論に基づき、学習者の能力に応じた、リスニング能力を向上させる指導法や学習法を導き出し、2015年3月に大阪大学より博士号(言語文化学)を取得しました。

今後はセミナーや研修会などを開催し、統計学的に有意差のある(科学的な根拠がある)リスニング指導法を広めていきたいと思っています。

在学生へのメッセージ

反面教師として在学生の方へのメッセージは、「①時間を大切にする」ということです。10代後半や20代前半の若い人は頭では自分にも寿命があるということはわかっていても実感はありません。しかし、思った以上のスピードで時間は去っていきます。卒業までに成し遂げたいことを常に意識してください。また、「②優先順位をつけること」や「③自己管理能力」も大事です。

「何を、どの順番に」と、決めたら、今度は時間(時計やカレンダー)を常に意識して、「すべきことをまずやり遂げる自己管理能力」が大事です。人間は、すべきことではなく、したいことを優先しがちであって、他者との競争に打ち勝つためにはこの3つは必須条件です。

大学創立50周年に向けたメッセージ

創立50周年、おめでとうございます。1987年に卒業してから、早や30年。

故 佐中仁先生や森井哲二先生、竹村義和先生には特にお世話になりました。大学教員というのは、人の心の中に種を蒔く不思議な生業です。蒔かれた種は、何年も、時には何十年もかかって開花し、次世代へと受け継がれていく。教員が亡くなっても、教えを受けた者の心の中に、しっかりと種は根ざし、開花し、そしてまた、次世代へと続く。永遠の命を持つ特別な聖職です。

尊敬する故 佐中仁先生を始め、森井哲二先生や竹村義和先生が、永遠の命を私にくださったのと同じように、さらなる50年後の2066年も、現在在学しているみなさんの中から、永遠の命を引き継ぐ方が、ご活躍されていることを願います。