キャンパスライフ

大学生活について

学生部長 田沢 晶子

身体が発達するように、心もいくつかの段階を経て大人になります。大学生である皆さんは、子どもから大人への移行期にあり、試行錯誤をしながら自己の核を形作る「アイデンティティの形成」が心の課題です。

この心の課題は、大阪大谷大学の教育理念の一つ、「自立」と深く関わっています。大学で身に付ける教養、各分野の専門知識・技術は、皆さんが社会人として働き、経済的に自立した生活を送るうえで基盤となります。

もう一つは精神的な自立です。大学生活が高校生活と大きく異なるのはこの点です。授業はもちろん、クラブ・サークル活動、ボランティア活動、インターンシップなど学内外での経験、多くの人との関わりの中には、「将来の目標」を定め、「自分らしさ」を見つけていくヒントが散りばめられています。大学生活で出会う様々な出来事は、「自分とはどんな人間か」「なにが得意でなにが不得意か」「なにに興味や関心があるのか」「これからどんな風になりたいか」「現状から判断するとなにができるのか」を知っていくうえで貴重な経験となります。大人への過渡期にある皆さんにとって、悩みがない状態はむしろまれです。多くの葛藤を経験してこそ、自分の特徴や能力が分かり、少々のことでは揺らがない「核」を作っていけるでしょう。

多くの経験から皆さんは次第に、「答えは一つではない」、「自分にとって正しいが他人には間違っている場合がある」、「自分らしさを追求すると他の多くの選択肢をあきらめないといけない」ことなどに気付くかもしれません。実はそれこそが自分の人生を創造的に生き、他者を理解し尊重する「共生」につながります。

「艱難(かんなん)辛苦(しんく)汝(なんじ)を玉にす」という言葉があります。「人は多くの艱難(つらく苦しいこと)を乗り越えてこそ立派な人物になる」(『広辞苑』より)という意味です。自然災害や感染症はもはや他人事ではなく、いつ自分の身に降りかかってきてもおかしくない時代です。なぜこんな大変なことが起こったのか、自分にとってポジティブ、ネガティブ両側からとらえる柔軟性を持っていれば激動の時代を生き抜く強みになるのではないでしょうか。

大学には、皆さんの学生生活を支える複数の組織があり、連携して機能しています。どんな時にどの機能を使えばよいかは、学生生活ハンドブックですべて知ることができます。まずは各窓口を調べ、連絡を取ってみて下さい。教職員が丁寧に対応してくれ必要な情報が届きます。大学では、上述した「自立」を目指しているので、情報を得て「行動する」のは皆さん自身です。

大阪大谷大学で、高い専門性と優れた実践力を身に付け、自由を知り、責任を自覚し、自己の能力を見極め、将来の目標を定め、また生涯の友人と出会って欲しいと思います。