幼児教育専攻(2024年4月から「こども保育専攻」に名称変更)

  • 遊び文化コース
  • 自然教育コース
  • 子育て支援コース

「教育」の観点と「得意分野」を持った保育者の養成

現代の保育現場は今までになかった様々な課題を抱えており、保育者には保育技術だけではなく複雑な課題に柔軟に対応する力が求められるようになってきました。また、就学前教育への関心の高まりは世界の潮流となっており、保育者に高い専門性を求める国が増えています。単に子どもを「見守る」だけではなく「教育」の観点を持った質の高い保育が求められているのです。幼児教育専攻ではこれらの実態に応えるため、保育者としての基本的な学びに加え、「得意分野」と「高い専門性」の獲得をめざした教育を行います。

特色(教員メッセージ)

得意分野を持つ幼稚園教諭・保育士をめざす

教育学部 教授 長瀬 美子

現在、保育現場では保育実践を言語化したり、研修で発表したりする機会が増えています。そのためには理論面に強くある必要があり、4年制大学卒の保育者の活躍が期待されています。本専攻では幼稚園教諭1種免許と保育士資格の取得を基本とし、造形・音楽・身体といった保育に必須の保育技術を実践的に高める4年養成ならではの充実したカリキュラムを用意しています。また、保育現場では保幼小連携、支援の必要な子どもへの対応、遊びができない子ども、自然体験のない子ども、子育て支援の必要な保護者というように、従来のように保育技術(音楽遊び・造形遊び・運動遊び等)を持っているだけでは対応しきれないほど多くの課題が生まれています。このような子どもを取り巻く様々な課題に対応するため、2年次より3コースに分かれて学びを深め、遊びや自然教育、子育て支援の中から「得意分野」を身につけ、近隣の保育現場とも連携しながら高い専門性を持った保育者をめざします。

教育方針

理論と実践的な学びの相互作用から保育現場でリーダー的役割を担える保育者を育てる。

保育現場が抱える現代的課題に対応した3コースで得意分野を持った保育者を育てる。

幼児期からの教育という側面の意義を理解し、「教育」を実践できる保育者を育てる。

得意分野を育てる3つのコース

現代の子どもを取り巻く課題に応える「得意分野」の専門性を身につける3コース

遊び文化コース

夢中になって遊ぶことが、乳幼児期の発達にとても重要な意味を持っています。このコースでは、遊びの発達的意義、遊びの種類・特性や独自性を理解し、遊びの選択と準備、指導を学びます。なかでも、2~3歳児期に重要なごっこ遊びや集団遊び、冒険・探検ごっこなど、代表的な遊びについてじっくり学び、遊びを通して子どものすこやかな発達を援助できる保育者をめざします。

『遊び研究』
地域から遊ぶ場所が消え、自然発生的な遊び仲間が消失していく中で、幼児の遊びを保障する場として幼稚園や保育所が果たす役割はこれまで以上に重大になってきています。本講義ではいろいろな遊びがもつ「固有のおもしろさ」に迫りながら、そこでの保育者の工夫、しかけや援助について考え、実践できる力を育成します。
『子どもと絵本』
「絵本」と聞いてどんなものが浮かびますか?思い出に残る絵本はありますか?絵本は子どもたちの楽しみであるとともに、保育における重要な教材です。本講義では、幼稚園や保育所で実際に読まれている絵本をとりあげ、なぜ子どもをこれほど惹きつけるのか、どんなところに子どもはおもしろさを感じるのかなど、絵本の魅力に迫ります。

自然教育コース

自然の教育力は大きいのですが、近年は、雨に濡れたことがない子どもやアリを怖がる子どもに出会うこともあります。そこで、保育現場ではいままで以上に積極的に植物や動物、昆虫など自然との触れ合い体験を取り入れるようになっています。このコースでは、子どもが遊べる自然がいっぱいの園庭を創り出し、遊具やおもちゃのない自然のなかで子どもに遊びを仕掛ける力を身につけます。

『子どもと植物』
植物が人間の心理・生理に与える影響や生活に果たす役割を学んだ上で、保育現場でよく使われる植物を中心に植物に関する基礎的知識・育て方・具体的な遊び技術・植物遊びを生み出す環境の作り方など、保育現場で活用できる知識・技術を習得します。
『自然遊び指導実践演習』
自然の中では遊具やおもちゃがなくても自然素材を使っていくらでも遊ぶことができます。そうした遊び体験を通して子どもは想像力・創造力を育てていくのです。この授業では実際に体験しながら、自然の中での子どもの遊びを援助するために必要な遊び技術を身につけます。

子育て支援コース

現在、多くの子育て家庭が将来に不安を抱え、悩みながら孤軍奮闘しています。そのような中で、子どもとの毎日を充分に楽しむことが難しい状況に陥っています。このコースでは、現代社会の構造・制度を学び、子育て家庭と連携し、子どもがのびやかに育つ社会について考えます。そして子育て支援ができる保育者として即戦力となる具体的な保護者支援の方法を学びます。

『子育て支援ゼミナール』
子育て家庭を支え、子どもがイキイキ育つ環境を整えることは、社会を豊かにしていくことの基本です。このゼミナールではまず、今、子育て家庭はどのような困難を抱えているのかについて整理します。そのうえで、どんな支援が必要かを保育者をめざすみなさんと、双方向のやりとりの中から学んでいきます。
『子ども理解連携』
保育所や幼稚園、こども園から地域の小学校へ子どもは進学します。入学した子どもの育ちを段差なく支え、安心して学校生活を送ることができるよう、保育者は学校の教職員と子どもを理解するために連携します。実際にどのような連携が行われているか、「保育要録」なども教材として用い、保幼小連携の実際を学びます。