教育・研究等施設

STEAM Lab

Lab長メッセージ

STEAM Lab長 狩谷 潤也

「STEAM Lab」は、科学教育を軸とした総合的な教育実践研究施設として、2020年4月より本学に開設されました。コロナ禍により大学の活動が制限される中においても、学科を超えて様々な先生方から「STEAM Lab紀要」に日頃の教育研究の成果をご投稿いただくなど、本Labの運営にあたり様々な教職員・学生の皆様にご協力賜りましたこと、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。小谷前Lab長を引き継ぎ、本Labが更なる発展をしていくように尽力してまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

さて、「STEAM Lab」の「STEAM」とは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Arts(アート)、Mathematics(数学・算数)のそれぞれの頭文字をとって組み合わせた造語です。もともとは、1990年代のアメリカにおいて科学技術人材の育成を目的とした教育施策において「STEM」という言葉が使用されておりましたが、この「STEM」領域に「Arts」領域を組み合わせて問題解決を図る考え方が広まり、「STEAM」教育という概念が世界中に広まっております。

「STEAM」教育の定義は多数あり、その立場によって解釈は様々です。一方で、中央教育審議会答申「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す,個別最適な学びと,協働的な学びの実現~」を見てみると、「STEAM教育の側面に着目し,STEAMのAの範囲を芸術,文化のみならず,生活,経済,法律,政治,倫理等を含めた広い範囲(Liberal Arts)で定義し,推進することが重要」「STEAM 教育等の教科等横断的な学習の推進による資質・能力の育成」といった記述がされております。つまり、日本の教育政策上においては「STEAM」教育を、「S」「T」「E」「A」「M」の各領域を統合し実社会の課題に取り組むなど、教科横断的な学習に取り組む教育活動と解し、重要視しているのが現状です。

そこで、本学の「STEAM Lab」においても、「S」「T」「E」「A」「M」の各学問分野の特性を把握した上で統合し、「遊び」や「学習」の諸課題解決に即した教育を行うことを「STEAM」教育ととらえて教育研究活動を実施しているところです。このような考え方を踏まえ、教育学部に附属する機関として教科の枠を超えた総合的な学習を展開できる教員を育成・サポートすることのみならず、学科の枠を超えた教育研究活動を推進していきたいと考えています。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

「STEAM Lab」教育の方針

「STEAM Lab」教育の考え方

2018年度より逐次実施される幼稚園教育要領、小学校学習指導要領の改定の趣旨に迅速かつ柔軟に対応できる保育者・教師を「STEAM」教育の観点から育成するため、「STEAM Lab」では特に以下の各項目に焦点を当てて教育及び研究を実践していきたいと思っています。

1. 乳幼児期からの理数教育の充実
現行のカリキュラムにおける理数教育は、算数科(小学校第1学年~)及び理科(小学校第3学年~)において行われています。「STEAM Lab」では、乳幼児期の「遊び」から低学年児童期の算数科・生活科(自然領域)までの理数教育を、小学校中学年以降の算数科・理科とは異なった教育と位置づけ、幼児期の教育と教科教育の長所をカリキュラム・マネジメントの視点から統合した「かがく遊び」として研究・実践していきたいと思っています。

2. プログラミングを含んだ情報活用能力の充実
「STEAM Lab」では、電子黒板やタブレット端末などのICT機器の保育や算数科・理科授業への活用スキルの育成や、パソコン等を利用しない「アンプラグド型」、スクラッチ等を利用する「ソフトウェア型」、ロボットを制御する「ロボット型」のプログラミング教材を活用した体験的活動を通して、プログラミング的思考及び論理的思考の育成を研究・実践していきたいと思っています。