教員コラム

Beyond the Border

教育学部 教育学科 学校教育専攻 教授 小山敏子
EuroCALL2019の学会会場
ポスターの前で
ポスター発表中

今では世界中から多くの人たちが日本を訪れ、また、日本生まれの多くの人たちが世界で活躍しています。2019年の流行語大賞になった「ONE TEAM」。生まれも母語も異なる選手たちがひとつになってすばらしい試合を展開し、わたしたちに感動を与えてくれたことは記憶に新しいところです。

一方、近年Diversity(多様性)という言葉を頻繁に耳にします。けれども、アジアの島国である日本に住んでいると、そのことを意識する機会は、国籍や人種という概念が薄れている現代でも他国に比べ少ないようにも思います。一生涯を一つの言語で過ごせ、経済的にも文化的にも発展した日本のような国は、世界でもそう多くはありません。

では、英語を学ぶ意義はなんなのでしょうか?

この問いかけには、一人ひとりが異なった考えを持たれていると思いますが、わたしにとっては、コミュニケーションの一手段を手に入れることで気軽に海外に出かけることができるから。そして、多くの人たちと言葉を交わすことで自身のものの見方が広がることが楽しいから、に他なりません。国際社会の共通言語とも言える英語を学ぶことは、異なる文化背景を持つ人たちと語り合え、さらには母語や自国の文化にも目を向ける機会を増やすことができると考えています。

これまで学会や旅行で多くの国を訪れました。その中で最も印象に残った出会いはタイのチェンマイでのことです。フライトまでの時間を利用して有名な寺院を訪ね、とてもキュートなアラブ系の女性と出会いました。「学生?」と声をかけたところ「ちょうど兵役が終わったところよ」という返答に虚を突かれ、思わず「軍隊はどうだった?」と尋ねてみました。すると「すばらしい経験だった。人生についても多くのことを学べたし。これからは大学に戻って勉強しようと思うの。」と笑顔で答えてくれたことが忘れられません。