教員コラム

「研究テーマ紹介―スポーツと味覚の関係性について―」

人間社会学部 スポーツ健康学科 講師 池田香代
写真は上記研究を米国学会(Experimental Biology)で発表した頃。

私は主にスポーツ飲料などの甘味と運動との関連について研究をしています。

スポーツの現場ではスポーツ飲料は味が濃いなどの理由でしばしば希釈して飲用されていますが、運動時の血糖値の維持に必要な量の糖質を補給できなくなる恐れがあるため、このような飲み方は望ましくありません。スポーツ飲料の味が濃いと感じるのは、運動で甘味に対する嗜好が変化するのではないかと考え、大学院ではラットを対象に研究しました。蒸留水と糖質溶液を自由に飲用できる環境で飼育し、トレッドミル走行運動後飲用量を測定した結果、ラットは運動させると運動前に非常に好む濃度の糖質溶液の飲用量が激減しました。このことから甘味に対する嗜好は運動後低下する可能性があると考えました。
この運動後の甘味嗜好の変化には、体温の上昇や内分泌系の変化などが関係していることが推察されます。また、甘味以外の味覚も運動によって変化するとの知見があります。今後は、運動による甘味嗜好の変化に続く研究として、運動後の味覚変化と食欲減退の理由および生理的意味をさらに検討していきたいと考えています。

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