教員コラム

薬と一緒に飲食してはいけない食べ物ってあるの?

薬学部 実践医療薬学講座 教授 名德倫明

薬の中には、食品や飲料と一緒に摂取してはいけないものがあるのはご存じですか。

2種類以上の薬を服用することで、薬の効果が増えたり減ったり、あるいは副作用が発現したりすることがあります。それを薬物相互作用といいます。このような相互作用は、薬同士だけではなく、薬と食品や飲料の間でも起こります。

代表的な例として、ワーファリンと納豆があります。ワーファリンはビタミンKに拮抗して、血液を凝固しにくくする薬です。しかし納豆は大量のビタミンKが含まれていることに加え、腸内でビタミンKを産生する納豆菌が含まれています。そのため、一緒に摂取するとワーファリンの効果が減弱して血液が固まりやすくなります。牛乳も多くの薬に影響を及ぼします。ある種の抗菌剤や骨粗鬆症の薬などでは、牛乳中のカルシウム等の金属イオンと結合して、体内に吸収されない形となり、薬の効果が発揮できなくなります。またコ-ラ等の炭酸飲料も影響を与えます。炭酸飲料は酸性が強く胃内のpHを下げます。胃内pHにより体内への吸収が変化する薬、例えば、ある種の抗真菌剤等では問題となります。

このように、多くの薬が食品や飲料と一緒に摂取すると薬の効果に影響を及ぼします。薬剤師は、このような薬の飲み合わせの情報を収集し、患者さんに服薬指導することも重要な仕事の一つなのです。