本を片手にバトルに挑む授業

With a book in one hand, he takes on the challenge, and the battle begins.

文学部日本語日本文学科

木下 みゆき 教授

専攻分野:図書館情報学

自分の言葉で一冊の本をいかに魅力的に伝えるか。
5分間のバトルに挑む!

私が担当する司書課程の授業では、一人ひとりの利用者と本をつなぐ司書の役割を知るため、実際の業務を体験します。そのひとつが、学生が主体となって行うビブリオバトルです。ビブリオバトルとは、バトラー(発表者)が面白いと感じた本を持ち寄り、5分間でその魅力を紹介。それぞれの発表後にバトラーとオーディエンスで3分間のディスカッションを実施したうえで、最終的に一番読みたくなった本を一人一票投票し、勝敗を決める書評会のこと。新刊本に限らず、普段手にとる機会の少ない古い本や珍しい本と出会うきっかけとして、各地の図書館や書店で主催されています。2019年12月に授業内で開催したビブリオバトルでは12名の学生がバトラーに立候補。作品を読み直し、印象に残った場面や言葉に思いを巡らせて準備を行ったうえで、当日はスクリーンに映された残り時間がどんどん減っていく中、資料や道具を一切使わず、本人の言葉だけで一冊の本をいかに魅力的に伝えられるかに挑みました。





決めるのは「チャンピオン」ではなく、「チャンプ本」。
本との偶然の出会いを作り出す。

自身の人生観を変えた思い入れのある児童書や、ミステリーの短編集、ユニークな事典まで学生たちが紹介する本は様々。私も当日まで学生がどんな本をどんな風に紹介するのか知りません。人前で話すことに苦手意識をもっていた学生がバトラーに立候補し、底力を発揮してくれることも多々あります。スムーズに言葉が出てこなくても、自分なりの伝え方ができれば大丈夫。ビブリオバトルはプレゼンテーション力に優れた「チャンピオン」を決めるものではなく、あくまでも読みたいと感じた「チャンプ本」を決めるものですから。ビブリオバトルをはじめ、司書課程の授業を通じて、学生たちには本との偶然の出会いを作り出すことができる司書の仕事の魅力を体感してもらいたいですね。誰かに自分の好きなものを自分の言葉で紹介することは、将来どんな道に進んでも活かされる経験になりますよ。