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歴史文化学科1回生を対象とした「歴史文化フィールドワークB」を10月1日(土)に開催しました。

2022/10/31

見学地は西大寺と平城宮跡です。それでは、西大寺での様子からご紹介しましょう。

まず最初に見学したのは、本堂前に残っている五重塔跡です。普段は基壇上には登れませんが、今回は特別に許可をいただいて基壇上に登壇させていただきました。壇上は、参加者全員が登壇しても広さにまだまだ余裕があり、その規模を体験することができました。

基壇上には奈良時代創建時の五重塔の礎石が、きれいに並んでいます。特に塔の中心に据えられた心礎はひときわ大きく、礎石の周辺部を八角形に作っています。この塔が設計当初は八角形で計画されていたことを示しています。また現存する基壇の周辺は八角形に整備されています。これは、発掘調査で判明した設計当初の基壇規模を表示したものです。

基壇見学後は本堂、愛染堂と四王堂の堂内をそれぞれが自由に拝観しました。特に四王堂の四天王像に踏まれる邪鬼は西大寺創建当初のものが伝わっており、ユニークなその表情に見入る学生も多くいました。

 午後からは平城宮跡です。奈良時代に造営された本格的な都城遺跡・平城京の北辺中央に建設された宮殿の遺跡です。その主要な部分は国の特別史跡として保存され、史跡整備が進んでいます。まず平城宮跡資料館を見学して、平城宮の歴史と調査の成果を学びました。

その後は、史跡として広大な面積が残されている平城宮跡内を歩いて見学しました。奈良時代の宮殿が建っていた広さを体感するのも目的の一つでしたが、ここでは遺跡の整備という観点から見学してみました。地下に眠る遺構を我々が理解しやすいように、様々な角度から整備が試みられていますので、各地の遺跡を見学した際にも理解を深めるのに役立つのではないかと考えています。

まず立体復元された第一次大極殿から。内部には天皇が使った高御座も復元され、内部の見学とともにそこから眺める平城宮・京の広大さが理解できます。最近は大極殿院の正門となる中門も復元され、まもなく工事用の覆い屋も解体されるようです。遠くには早くに復元された朱雀門が見えます。これらは現存する奈良時代に建てられた建築物の研究成果と、発掘調査で確認された建物の平面構造を踏まえて再現されたものです。

 次の見学地点は、平面整備された第二次大極殿跡。凝灰岩製の立派な基壇を復元し、上部には礎石も復元されています。掘立柱建物の整備では、第二次大極殿跡の北側で樹木を柱状に剪定して柱の位置を表すものが目を引きました。

注目したのは築地塀の立体復元です。版築と呼ばれる、土を水平に突き固める手法を用いて再現されており、版築の様子がリアルに伝わってきます。

井戸跡の周囲では発掘された遺構の表面をそのまま型取りし、樹脂で再現した整備もありました。

最後は、発掘調査された遺構面をそのまま覆って見学できるようにした、遺構展示館を見学しました。どのようにして遺構が調査されるのか、実物が見学できる魅力はやはり素晴らしいものがあります。

 このような各種の整備方法を見学しながら、平城宮跡を東西方向に横切りました。広さを体感するとともに、発掘調査して保存された遺構がどのように整備され、我々の学びに役立つかを理解できたのではないかと思います。

 今回見学した各種の整備がどのように活用されているのか、今後各地の遺跡を見学するときの参考にしてくれることを願っています。

 最後になりましたが、西大寺五重塔跡の見学を特別にご許可いただきました西大寺様にお礼を申し上げます。

(文責:S)

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