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歴史文化学科の学生が「歴史文化フィールドワーク」(学外授業)で大阪中之島美術館と堺アルフォンス・ミュシャ館に行ってきました。6/25(土)

2022/07/11

歴史文化学科では、1回生の必修科目として「歴史文化フィールドワーク」を実施しています。6月25日(土)は、大阪府にある美術館の見学です。

午前中は今年2月に開館したばかりの大阪中之島美術館を訪ねました。

黒い立方体の美術館の前では、ヤノベケンジ作品《シップス・キャット(ミューズ)》が迎えてくれます。

館内2階で集合し、今日一日のスケジュールを確認して、開催中の「モディリアーニ―愛と創作に捧げた35年―」展の会場へと向かいます。

展示会場へは長いエスカレータで5階まで昇ります。

途中、アントワープ王立美術館(ベルギー)が所蔵するアメデオ・モディリアーニの作品《座る裸婦》をもとに制作した大きな垂れ幕に目を惹きつけられながら進んでいきます。

5階の会場入口へ到着し、学生はメモの準備をして展示会場へ入ります。

今回の「モディリアーニ」展では、国内外のモディリアーニ作品約40点が公開されています。

この作品は、世界初公開のモディリアーニ作《少女の肖像》です。スウェーデン生まれのハリウッド女優グレタ・ガルボ(1905-1990)が所蔵した作品です。

グレタ・ガルボのニューヨークの自室の写真です。部屋の壁には、100点程の絵画作品が飾られていたといい、《少女の肖像》は生涯愛蔵した作品だと伝わっています。

展覧会では、モディリアーニと同世代で20世紀前半にパリで活躍したピカソやシャガール、ユトリロ、藤田嗣治など「エコール・ド・パリ」の画家たちの作品も数多く公開されています。画家たちがパリで交流し、影響しあったことがよくわかります。

実際の美術作品を前にして、学生たちはどのように感じたのでしょうか。見学会当日に提出されたワークシートから紹介しましょう。(一部編集しています)。

・モディリアーニ《カリアティード》・・古代建築に用いられた女性の姿を模した柱の「カリアティード」の絵からは、力強い女性を感じた。目の塗りが左右で違うのが印象深い。

・モディリアーニ《髪をほどいた横たわる裸婦》・・アフリカの仮面のような鼻で目を引いた。初期に彫刻家を志したこともあり影響を受けていると思った。女性の体つきを誇張して表現することにより女性らしさが際立つように感じた。

・ユトリロ《ラバン・アジール》・・色彩がきれいな風景画で見ていてすごく落ちついた。前景にメインの家を置き、木々を奥に行くにつれ小さくし、人物を描くことで奥行きを持たせている。色彩豊かで葉の描き方で風が感じられるなど繊細な表現を感じた。

・マリー・ローランサン《サーカスにて》・・色が薄くてきれいだった。柔らかく、可愛く、髪が背景と一体化しかけているようにみえた。色が薄いせいだろうか、はかない印象を受けた。

・ピカソ《道化役者と子供》・・今まで見たことのあるピカソの絵と違い形が整っていた。    隣に並んでいても道化役者と子供が違う方向を向いていて、淡い色の作品であるからか寂しそうな雰囲気を感じた。

学生たちは、モディリアーニの初期から晩年の作品と、同時代の20世紀前半にパリで活躍した出身国も作風も異なる画家の作品を間近に観察し、感じることも多かったようです。

見学を終えて外の景色を撮影。先に見学を終えた学生たちが《シップス・キャット(ミュース)》の周りで記念写真を撮っているようです。

昼食後は、堺市にある「堺アルフォンス・ミュシャ館」へと向かいました。

集合してワークシートを受け取った後、「密」を避けるため、4階と3階の展示会場をグループごとに入れ替えての見学です。

各階の見学の最初に、ミュシャ館の高原茉莉奈学芸員と川口裕加子学芸員から、開催中の「アンニュイの小部屋―アルフォンス・ミュシャと宇野亞喜良」展の見どころを説明していただきました。

優美で憂いを秘めたミュシャの作品と、グラフィックの分野で独自の世界観を生み出した宇野亞喜良の少女像の作品の数々からは、異なった時代の憂いを秘めた"アンニュイ"な魅力が感じられました。また、ミュシャの制作プロセスについても、写真を活用した作品制作を実践していたことがよくわかる展示で、ミュシャの美への探求心が伝わってきました。

丁寧に説明をしていただきありがとうございました。

以下に学生のコメントを紹介します。

・「四つの花《カーネーション》《ユリ》《バラ》《アイリス》」・・表情やポージングが神秘的かつ女性的で惹かれた。人のポーズや表情、衣装などで特定の花を表現できていると思った。

・「四つの星《宵の明星》《暁の明星》《月》《北極星》」・・顔の表情が魅力的で、影のつけ方や顔の向きによって、これだけいろいろな心情が表現できることを学んだ。

・『装飾資料集』・・写真をもとに絵を描いていることが分かり、完成度の高さに驚いた。先に衣装を着ているのではなく、写真をもとに人のポーズや髪型を描き、衣装や装飾品は後から加えて作品を制作していることがわかった。

今回の歴史文化フィールドワークでは、19世紀末から20世紀の美術作品をたくさん見ることができました。美術作品だけでなく、その背後にある歴史や文化との関係についても考える機会となったのではないでしょうか。今後も授業などで学びを深め、美術館を訪れてみてください。きっと新たな発見があると思います。

大阪中之島美術館と堺アルフォンス・ミュシャ館の皆様には、お世話になりました。改めて御礼を申し上げます。

(文責M)

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