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歴史文化学科の学生が「歴史文化フィールドワーク」(学外授業)で飛鳥に行ってきました。11/20(土)

2021/12/14

後期第3回目のフィールドワークは、飛鳥地域北部を中心に見学しました。

考古学を専門とする教員の担当回ということで、古代の寺院跡を中心に巡ることとしました。

近鉄畝傍御陵前駅東口に集合し、まずは徒歩で近くの本薬師寺跡へ。巨大な礎石が並ぶ金堂跡で集合し、当時の建物の大きさを想像しながら解説を加えました。

金堂跡南側の東西には塔跡があります。その中の東塔跡へ再集合。

東塔跡の中心に残る心礎には中央に心柱を置く大きな穴が穿たれ、その底の中央にはさらに仏舎利(お釈迦様の遺骨)を納めた円形の穴(舎利埋納孔)があけられています。舎利埋納孔が見学できる塔跡は決して多くはなく、貴重な体験になったことと思います(西塔跡にも心礎が残っていますが舎利埋納孔はありません)。

次は田中廃寺、和田廃寺へと進んでゆきます。田中廃寺は土壇が残っていますが、調査は行われおらず、周辺の調査状況から寺跡の存在が想定されています。和田廃寺は現在水田中に残る土壇が金堂跡とみられ、礎石が2個残っています(少しだけ草の中から顔を出しています)。大きな鴟尾が出土したことでも著名な寺跡です。

その後、以前は小治田宮跡と考えられていた大宮土壇を見学し、豊浦寺跡へ向かいます。

豊浦寺跡は現在、明日香村豊浦の集落の地下に埋もれていますが、その上に建つ向源寺というお寺には古い仏像などが伝来しています。その向源寺の境内には豊浦寺跡の遺構を発掘したときのまま見学できる施設があり、石敷きの遺構が覆い屋をかけられて保存されています。またすぐ脇には紋様石とされる不思議な彫刻が施された平たい石が置かれていて、飛鳥らしさを感じさせてくれます。

向源寺を出るとすぐに甘樫丘に至りますが、その裾の広場で昼食。この日は天気にもめぐまれたため他にも弁当をひろげて楽しむ団体がいくつも。その隙間を縫って我々も弁当をいただきました。甘樫丘の上は自由見学としましたが、大和三山や次に行く飛鳥寺が遠望でき、古代の飛鳥を感じることができる絶好の場所であることは周知のとおりです。

昼食後は明日香村埋蔵文化財展示館で飛鳥出土の貴重な資料を見学したあと、飛鳥寺を拝観しました。

日本で最初に建てられた本格的な伽藍を有する寺院で、今から60年ほど前に発掘調査が実施され、五重塔を中心に北と東西あわせて3つの金堂を持つ他に例のない珍しい伽藍配置のお寺であることも判明。とくに塔の調査では地下深くに眠る心礎上面から多くの遺物が出土したことはよく知られています。なかでもご本尊の釈迦如来は飛鳥大仏と呼ばれるもので、創建当初のご本尊がそのまま現在まで伝わる貴重な仏様です。随所に修理の手が加えられて痛々しく感じる部分もありますが、1400年という歴史の流れを感じるには十分すぎる存在感があります。

本堂内ではご住職様の詳しい解説を聞き、関係の資料を見学してから次に向かいました。

次の見学地は奥山久米寺跡。

あまり知られていませんが、飛鳥時代後期の塔跡が集落内の一角にしっかりと残っています。心礎の上には南北朝時代の十三重石塔が建てられています。創建時に建てられた木造の塔が消滅し、再建されることはなかったのですが、中世に入り石造で再興したものと考えられています。こうした事例は飛鳥では檜前寺跡にもあり、全国各地で散見することができます。

最後の見学地は飛鳥資料館。飛鳥のことをすべて学ぶことができる重要な資料館です。

ここでは常設展として飛鳥時代の寺院跡や宮殿跡、古墳から出土した様々な資料が展示されていますが、なかでも目を見張るのが山田寺跡から出土した回廊そのものを復元展示したコーナーです。奈良国立文化財研究所が1982年度に山田寺の回廊跡を調査したところ、当時の回廊が横倒しになった状態で出土したのです。柱や連子窓がそのままの形で埋もれていたのです。飛鳥時代の建物は再建された法隆寺が知られていますが、それよりも少し古い時期のものとみられ、古代建築研究に大きな成果を残しました。出土した建築部材はそのままでは崩壊してしまうので、科学的な保存処理が施され、無くなっているところを補修、補強して再び当時の姿を資料館の中で甦らせたのです。ほかでは絶対に見ることのできない展示であり、古代寺院の勉強だけでなく、古代の建築研究、考古学研究、さらには埋蔵文化財の保存処理研究にも役立つ重要な情報が提供されています。

この段階で時刻はすでに夕方に差し掛かっているので、しっかりと見学をしたあとは自由解散としました。バスで最寄り駅まで帰る者、徒歩で飛鳥の散策を楽しみながら帰る者など様々ですが、全員が1万歩以上を歩いたフィールドワークとなりました。

参加者全員クタクタになったことと思いますが、飛鳥を十分に体感してくれたことと思っています。お疲れ様でした。

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