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人間社会学科発「ある公認心理師からのミニ情報」4

2021/05/07

 第4回:スクールカウンセラーになりたいのですが・・・

 よく「先生、スクールカウンセラーになりたいのですが」と、高校生や大学生から相談されることがあります。さて、スクールカウンセラーを目指す時に知っておくべきことは何でしょう?いろいろあるとは思いますが、日本の場合、ほとんどが公認心理師か臨床心理士の有資格者が採用されています。まずは第1歩として、これらの資格取得が重要になります。そのためには、受験資格を満たし、資格試験合格のための勉強が不可欠になります。
 次のステップは、スクールカウンセリングの現場に就職するためのエントリーです。ただ、ここで注意すべき点は、原則的にスクールカウンセラーは心理専門職のなかでも「一人職場」です。勤務先の学校には教職員がおられるわけですが、原則的に1つの学校にスクールカウンセラーの先輩や同僚はいません。

 この事情を考えると、公認心理師や臨床心理士の資格があっても、はじめての職場がスクールカウンセリングというのは、あまりお勧めできないとの視点もあります。ある著名な心理専門職の方が学生時代に指導教官のところへ相談に行った際、そこで「スクールカウンセラーはベテランになってからやるべき仕事です。まずは病院などで心理職の経験を積みなさい」と助言をいただいたらしいです。

 なお、公認心理師では活躍する5つの分野が想定されていますが、資格を取得する過程で医療現場の実習が必須とされています。これには多様な理由があるのですが、その1つには病院臨床を全く知らないまま学校での心理相談を担当した場合、病院などの他機関にリファーすべきか、このまま医療的な支援なしで相談を続けていいのかの判断が出来ないからです。薬物療法などの医療的な治療が必要な事例を心理的なカウンセリングのみで支援しようとすると、相談者にとっては大きなマイナスです。これらのことを考慮すると、最初の現場は可能な限り、身近なところで心理職の先輩から助言がもらえる場所が望ましいといえます。

(※リファー:他の専門機関に紹介すること)

 さて、スクールカウンセラーは非常勤として週1回くらいの頻度で勤務することが多い職業です。もしスクールカウンセラーのみを仕事にするなら、4~5校の学校を担当する必要があります。しかし、スクールカウンセラーには多くの希望者がいるので、経験の浅い公認心理師では、一人で4~5校もの学校現場に就労できることは稀だと思います。ある学校で「週に5日来てください」のような常勤扱いでない限り(こういう現場は今のところ、非常に少ないといえます)、現実的には非常勤としてのスクールカウンセラーは、学校現場と他の現場(医療や福祉など)を同時に兼任して生活しているケースが一般的といえます。また、次回以降でスクールカウンセリングについて機会があれば、より詳しく紹介したいと思います。

(人間社会学科教員:小西 宏幸)

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