2019/12/16
歴史文化学科の開講科目「美術史学実習」では、毎年、近隣の寺社や博物館・美術館を訪問しています。
10月13日(日)には、あべのハルカス美術館と堺市立文化館(アルフォンス・ミュシャ館)で実習を行いました。
午前中に訪れたあべのハルカス美術館では、「ラファエル前派の軌跡」展を見学しました。
「ラファエル前派」とは、19世紀にイギリスで結成された同盟です。メンバーのラスキンやロセッティは、当時のイギリス美術界の方針に反発し、イタリア・ルネサンスの巨匠ラファエロより「前の」時代の芸術を模範と仰ぎました。
会場では、ロセッティやバーン=ジョーンズ、そしてモリスなど、ラファエル前派を代表する芸術家たちによって制作された装飾的な作品の数々を堪能することができました。学生からは、「絵画だけではなく工芸品もたくさん展示されていて興味深かった」「ラスキンがデッサンした岩の描写が日本美術を思わせるものだった」などの感想があがりました。
ちょうどハロウィンの季節でした。よく似合っていますね!
午後は、堺市立文化館(アルフォンス・ミュシャ館)で「アール・ヌーヴォーの花園」展を見学しました。
この展覧会では、アール・ヌーヴォーを代表する芸術家ミュシャの代表作と、ミュシャと同時代に活躍したルネ・ラリックの工芸品が展示されていました。
会場では、学芸員の西川奈津美さんに説明していただきました。展覧会の準備として、ミュシャがモティーフとした植物をめぐる研究が進められたことや、ミュシャ作品には日本由来の花々も多く描かれていることなどを教えていただきました。お忙しい中お時間を割いてくださり、誠にありがとうございました。
ミュシャは学生たちにも人気の芸術家です。「植物が丁寧に表わされていて感動した」「装飾パネルが思ったより大きかった」などの感想が寄せられました。
11月16日(土)は、大阪市にある国立国際美術館と中之島香雪美術館を訪れました。
国立国際美術館では「ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道」展が開催されていました。
この展覧会では、19世紀末~20世紀初頭にウィーンで開花した装飾的で煌びやかな「世紀末文化」を「モダニズムへの過程」という視点から読み解いています。
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同じポーズで! |
会場には、18~19世紀の美術作品も数多く展示されていたため、学生は、「前半と後半で作品の雰囲気がかなり変わった」と驚いていました。また、絵画面の凹凸や建築模型の詳細など、会場で実見するからこそ得られる情報も多くありました。
午後は中之島香雪美術館に移動し、特別展「交流の軌跡―初期洋風画から輸出漆器まで―」を観賞しました。
本展覧会には、初期洋風画の名品《レパント戦闘図・世界地図屏風》を中心に、西洋との交流の中で制作された桃山~江戸時代の美術作品が出展されていました。
学生は、屏風のエキゾチックな画風に驚きながら、西洋と日本の要素が混交する華やかな世界を楽しんでいました。間近で観察してみると、超絶技巧を凝らした輸出漆器の質の高さもよく分かりました。「初めて見るタイプの作品が多く、とても印象的だった」との感想が多くあがりました。
10月、11月と2回にわたった学外実習は、とても有意義な学びの機会となりました。見学を受け入れてくださった関係者の皆さまには大変お世話になりました。改めて御礼を申し上げます。(文責I)