2021/06/17
第5回:スクールカウンセラーの仕事
前回、「スクールカウンセラーになりたいのですが」と、時折、高校生や大学生から相談がありますとのテーマで、そのための取得するべき資格や就職するためにお勧めする経験などを少しお話していました。
さて、スクールカウンセラーになる前に、仕事の内容として知っておくべきことは何でしょうか?
これにもいろいろあるのですが、今回は「もしこういうイメージがあるなら~」のお話をしたいと思います。
イメージされることが多いのは、「生徒(児童)相手の相談(カウンセリング)が仕事である」というものです。もちろん、小学校なら小学生、中学校なら中学生、高校なら高校生が相談の対象者であることには間違いありません(ただ、必ず職場の学校内だけの相談が仕事かといえば違うこともあります。たとえば、中学校のスクールカウンセラーが同じ地域の小学校や幼稚園での相談内容を担当することもあります)。それ以外には次のような人を相手に相談業務を行うことも知っておきましょう。
①学校の先生(教師)
「うちのクラスに気になる子がいるのですが・・・」と学校の先生が相談に来られることもあります。
②保護者
「うちの子が・・・」と保護者の方が相談に来られることもあります。保護者の中にはお子さんの所属する学校にスクールカウンセラーが来ていることは知っているものの「生徒(児童)が相談する場」と認識して、保護者も相談できることをご存じでない場合があります。スクールカウンセリングが保護者でも相談できることを知ると「じゃあ、利用してみよう」という人もいらっしゃいます。
③関係機関のスタッフ
相談内容にもよりますが、警察や家庭裁判所、児童相談所など、学校現場以外に勤務されている他の専門家との話し合いがあります。これらのケースでは、カウンセリングという言葉よりも「コンサルテーション」「コンサルテーション・リエゾン」などが使用されることも多いです。最近では、暴力やいじめの問題などで、スクール・ローヤーといわれる法律の専門家が注目されていますが、スクールカウンセラーがこのような他の専門家と協力して相談業務を行うことを「多職種連携」といい、重要な仕事とされています。
このように、①や②、③の場合、生徒(児童)本人はスクールカウンセリングの相談場面に現れない場合が少なくありません。つまり、「生徒(児童)相手の相談だけが仕事ではない」ことを理解しておく必要があります。時折、「頑固な大人相手の相談はしたくない」とスクールカウンセラーを希望される人もいらっしゃるのですが、むしろ本人よりも、それ以外の立場の人々との相談の方が多い日も珍しくありません。