2018/09/27
第23回:産業領域のカウンセリング
心理学の資格なのか、カウンセリングの資格なのか、精神療法の資格なのか、定義が難しいものに「産業カウンセラー」という資格があります。産業領域におけるカウンセリング業務自体は、この有資格者だけではなく、「臨床心理士」が担当することも少なくありません。相談内容も、日常的な職場内の人間関係や組織のマネジメント、うつ病予防などのストレス・マネジメント、既にうつ病やPTSDに罹患して休職されている就労者に対する職場復帰までの支援など、幅が広いため、さまざまな立場の方がカウンセリング的な業務を行っています。企業では、心理学ではなく経営の分野の専門家が産業カウンセリングを担当される場面もあります。また、うつ病やPTSDの対処が必要な場合、医師や臨床心理士による「産業領域のカウンセリング」が行われますが、ここでは内容的に心理療法とか精神療法の作業が中心になることもあります。通常、心理療法や精神療法と表現される場合、薬物療法ではなく対話によるストレス・マネジメントといえるかもしれません。まさに、一般的なカウンセリングのイメージにちかいともいえます。
臨床心理士によるカウンセリングや心理療法は、基本的に保険の適用がききませんので、民間の相談室を利用する場合、経済的な負担が大きくなります。小学校や中学校の学校現場で行われている「スクール・カウンセリング」は無料ですが、これは税金によって運営されています。病院などの医療現場では心理(精神)療法が診療報酬の対象にされているのですが、病院経営の観点から「お金にならない仕事」とみなされると、民間の心理相談ができる機関を紹介されることもあります。
心理カウンセリングをうけたいけれど、50分や60分の相談で、8000円とか10000円の料金は払えないとの理由で、臨床心理士養成の大学院がある大学では必ず学外向けの心理相談センターが設置されていますので、ここを利用される方もいらっしゃいます。担当者は主として大学院生や大学院修了生が多いのですが、この場合、臨床心理士の教員の指導を受けながら、業務を行います。料金は1回の面接で2000~3000円の所が多いようです。それでも高いと思われる人もいらっしゃるでしょうね。