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人間社会学科発 「ある臨床心理士からのミニ情報」20

2018/04/03

20回:公認心理師と社会福祉士:2つの国家資格

 平成30年は日本の心理学にとって大きな年になります。9月に公認心理師の国家試験が初めて実施されます。公認心理師は誰でも受験できるわけではありません。海外で心理職を担っていた人が日本に帰国した際、受験資格が与えられる場合もありますが、基本的には
 ① 大学などで4年間、必要な科目を修得した後、一定の条件が満たされた心理実践現場で一定期間(最短で
  2年とされていますが、実質的には3年、場合によってはそれ以上かかることもあります)の実務経験を積む。
 ② 大学などで4年間、必要な科目を修得した後、大学院に進学して必要な科目を修得する。(最短2年で修士に
  なります)
のどちらの条件を満たすことで、受験資格が得られます。公認心理師は臨床心理士とは異なり、大学(学部)時代に指定された心理学に関する多くの科目を修得する必要があります。臨床心理士の場合は、過去の連載でも紹介しましたが、大学時代における修得科目の制約はなく、大学院で臨床心理学に関する指定の教育プログラムを修了すれば受験資格が得られます。

 しばらくは経過措置として、臨床心理士など、これまでに心理専門職に就いていて現任者講習を受けた人や、これまでの大学院で公認心理師に関する科目と読み替えができる人などに公認心理師の受験資格があるようになっています。

 ところで、対人援助職に関する国家資格には、日本では社会福祉士やPSW(精神保健福祉士)などもあります。心理学と社会福祉学は学問的には異なる分野ですが、実際の現場では類似の業務を行うこともあります。

 なお、本学の人間社会学科では、平成30年4月から入学される学生さんには、公認心理師と社会福祉士という2つの国家資格の両方の受験資格を得られるようなカリキュラムを用意しました。つまり、大学4回生時に社会福祉士にチャレンジし、その数年後に公認心理師の受験資格を満たし、チャレンジすることが可能です。

 ただし、これらの国家資格の両方の受験資格を得るためには、4回生時でも多くの科目を履修する必要があります。そして、受験資格を得たとしても、実際には国家試験で合格しないと資格は得られません。ある国家資格に合格するだけでも大変ですから、それが2つになると相当の努力が必要です。逆にいえば、異なる対人援助の分野で2つの国家資格を有する人はそれほど多くないので、将来、専門職でキャリア・アップを目指す人にはお勧めです。
 

(人間社会学科教員:小西 宏幸)
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