2014/09/18
2014年9月11日~13日の二泊三日の日程で、斎宮歴史博物館・愛知県陶磁美術館・徳川美術館・名古屋市博物館を訪問しました。
◆1日目は「斎宮歴史博物館」を見学
斎宮とは歴代天皇に代わって伊勢神宮に仕えた斎王の宮殿と、彼女に仕えた官人たちの役所である斎宮寮などをさします。斎王は『延喜式』によると、未婚の皇女の中から亀の甲羅を使い、占いによって定められました。斎宮跡は国の史跡に指定されており、現在も発掘調査が続けられています。
はじめに映像展示室で京の都から伊勢への旅を再現した「斎王群行」を視聴したあと、展示室Ⅰと展示室Ⅱを見学しました。展示室Ⅱでは昭和45年から開始された発掘調査によって、地下から様々な遺物が出土していることがわかります。
展示室Ⅰ「文字からわかる斎宮」の入口には斎王群行で使用された斎王の輿(葱華輦・そうかれん)の模型が展示されています。
展示室を見学した後はバックヤードに移り、斎宮跡から発掘された考古資料の整理作業を行っている様子や収蔵庫を見学し、学芸員の星野利幸さんから、資料の保存方法や運搬方法などについて教えていただきました。
見学終了後、バスで宿泊先の笹戸温泉まで移動。到着後、雷雨となりましたが、翌朝には晴天となり、宿周辺の風光明媚な景色を眺めることができました。
◆2日目の午前中は「愛知県陶磁美術館」を見学
ゆったりとした展示空間が創られた美術館で、日本及び世界各地の美術的・歴史的に優れた陶磁作品・資料が展示されています。広い庭園内には茶室「陶酔庵」があり、陶芸館では作陶・絵付けの体験もできます。
学芸員の小川裕紀さんより愛知県の美術館としての役割や活動、地震対策を考慮した展示方法などのお話を伺いました。陶磁器展示では地震対策は重要で、展示室では資料そのものとともに、その展示方法を学ぶよい機会を得ることができました。
企画展「高麗・李朝の工芸―陶磁器、漆器、金属器―」では、高麗・李朝の時代に生み出された優れた陶磁器を中心に、漆器や金属器も展示されていて、日本人を魅了した高麗・李朝の美意識を感じることができました。
昼食前に広大な敷地内で記念撮影。
敷地内には、発掘された平安~鎌倉時代の猿投窯(地中をトンネルのように掘った窯)も露出展示されていました。
◆2日目の午後は「徳川美術館」を見学
尾張徳川19代 義親の寄贈によって、尾張徳川家に伝えられた多くの家宝が展示されている美術館です。収蔵品は、徳川家康の「お譲り品」と呼ばれる遺品を中心に歴代の遺愛品や一族が実際に使用していたものです。国宝「源氏物語絵巻」も収蔵されています。
各展示室は「武家のシンボル 武具・刀剣」や「室礼 書院飾り」、「大名の雅 奥道具」のようにテーマが設定されています。見学前に学芸員の並木昌史さんより館設立の過程や展示概要の説明などを受けました。
企画展示「天下統一 -信長から家康へ-」では、尾張徳川家に伝わる戦国武将ゆかりの武器・武具が、文書や掛け軸などと共に展示されていて、天下統一までの経緯を知ることができました。
2日目の実習では、展示を見学する際に学生たちが熱心にメモやスケッチをとっている姿が印象的でした。宿泊所に戻って夕食をとったあと、温泉でリフレッシュ。お肌がつるつるになったと喜んでいる人もいました。
◆最終日の3日目は「名古屋市博物館」を見学
こちらの博物館では、常設展「尾張の歴史」のほか、資料を手にとることのできる「触れてみるコーナー」も設けられています。いわゆるハンズオン展示です。
講座室で学芸員の井上義博さんより、特別展「NIPPONパノラマ大紀行 吉田初三郎の描いた大正・昭和」の解説をしていただきました。
引き続き学芸員の瀬川貴文さんより博物館のレクチャーを受けた後、バックヤードへ移動しました。バックヤードでは、資料の運搬方法や収蔵庫・展示室の温湿度管理の方法、防犯・防災対策の方法、停電の際の備えなどについて説明を受けました。実際に使われている設備を前にしての説明は何物にも代えがたい体験となりました。
2泊3日の博物館実習を終え、貴重な資料を見学するとともに、今まで知らなかった博物館運営の一端を学ぶ機会に恵まれ、学生達にとって有意義な実習になったようです。
訪れた博物館・美術館の皆様には大変お世話になりました。ありがとうございました。