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文化財学科の学生が「美術史学実習」で神戸市立博物館に行ってきました。

2013/12/02

文化財学科の授業「美術史学実習」では、近隣の寺社や博物館・美術館を訪問しています。

11月23日(土)は、神戸市立博物館を訪れました。

                       神戸市立博物館は、明治期に整えられた旧外国人居留地の一角に位置します。

 

堂々とした建物は、西洋の古典主義様式にもとづくもの。ドーリス式の半円柱や御影石の質感によって建物の重厚さが際立ちます。かつては旧横浜正金銀行神戸支店として用いられていましたが、増改築を経て市の博物館となりました。現在は、国の登録有形文化財にも指定されています。

まずは、開催中の特別展「プーシキン美術館展 フランス絵画300年」を見学しました。

この展覧会には、モスクワのプーシキン美術館に所蔵されるフランス絵画のコレクション66点が出展されています。会場を入ると、17世紀の画家ニコラ・プッサンやクロード・ロランの神話画が目につきます。そして、18世紀のブーシェ、19世紀のアングル、ドラクロワ、モネ、ルノワール、20世紀のピカソ、マティス・・・など、有名な画家の作品が並びます。名画を堪能しつつ、300年にわたる西洋美術の流れを体系的に理解できる展示でした。

受講生は、色鮮やかなブーシェの神話画や、モネ、ルノワールなどの印象派の画家たちなどの親しみやすい作品に魅せられたようでした。

また、受講生からは、「ロシアの美術館なのにフランス美術のコレクションが豊富なのはなぜですか?」という質問があがりました。それは、18世紀後半にロシアの地をおさめた女帝エカテリーナ2世(在位1762~1796年)がフランスに憧れを抱きつつ、国の威信をかけてフランス美術を蒐集したことが大きく影響しているようです。エカテリーナ2世に続いた王侯貴族たちもフランスの美術作品を意欲的に蒐集し、プーシキン美術館へと結実しました。

展覧会場には、そのような蒐集家の一人であったイワン・モロゾフ(1871~1921年)氏の邸宅内の様子が再現されていました。  

ロシアの貴族になった気分で記念撮影です。

 

こちらはルノワール作《ジャンヌ・サマリーの肖像》の複製パネルの前にて。この絵画もモロゾフ氏が蒐集したものです。受講生の間でも人気が高い作品でした。

 

「プーシキン美術館展」を見学した後には、常設展示を見学しました。常設展示では、港町神戸を中心とする日本と外国の文化交流のようすを知ることができます。

展示からは、神戸の地が古代から栄えていたことや、外国との交流が活発だったことがうかがえます。とくに1868年の開港前後の資料からは、外国人が神戸に定住し、神戸市民の生活や産業に影響を与えていった様子を知ることができました。博物館の所在する旧居留地の当初の様子を再現した模型も印象深いものでした。

このような展示を見ると、「プーシキン美術館展」も、単なる美術作品の展示ではなく、神戸や日本の文化に変化を与えるかもしれないと考えさせられたりします。

 

今後も、寺社や博物館・美術館での見学をとおして日本と外国の歴史・文化について考えていきたいと思います。

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