2013/11/22
文学部文化財学科では、一回生の「巡検」の授業で、さまざまな文化財を見学して回ります。
10月19日(土)は、斑鳩を訪れました。斑鳩は聖徳太子ゆかりの土地です。「法隆寺地域の仏教建築物」として世界遺産に登録されていることでも知られています。
この日は午前中に法隆寺の西院伽藍と大宝蔵殿、午後に法隆寺東院伽藍、中宮寺、法起寺、法輪寺と、多くの文化財を見学しました。事前の授業では、日本美術史のゼミ生が作成した文化財のしおりをもとに、見学の際のポイントを学んでいましたので、当日は、それを踏まえて、各自思い思いに伽藍内を歩き回り、仏像や建築物を鑑賞しました。
法隆寺に入ってすぐに目に入るのは中門です。711年に完成したと考えられており、塑造(土製)の金剛力士像が安置されます。筋骨隆々、とても力強い像でした。
受付をすませて西院伽藍へ。ここは金堂と五重塔を中心とする場所です。金堂には飛鳥時代の釈迦如来像と薬師如来像、鎌倉時代の阿弥陀如来像が安置され、それを護る四天王や壁画など、見どころが多くありました。天蓋に関心を持った学生、四天王の乗る不思議な動物に興味を持った学生、それぞれ熱心にノートを取っていました。
五重塔の一階部分を覗き込むと、仏教説話の名場面四つが土の像で表されています。暗くて、目が慣れるまで少し時間がかかりますが、場面の意味がわかったときの面白さは格別のものがあります。
西院伽藍を出て大宝蔵殿に向かい、一時間ほど自由に見学しました。ここでは飛鳥時代から室町時代までの法隆寺の多くの宝物を拝観することができます。特に人気があったのは、塑造の吉祥天像、玉虫厨子、伝橘夫人念持仏などでしょうか。「どうやって作っているんだろう」「なかなか図柄がみえてこない」など、数人で議論しながら見学する学生の姿も見えました。
この日は雨が心配されていましたが、天気も良くなり、法隆寺境内を眺めながら昼食をとることができました。
昼食後は、東院伽藍に向かいました。もともと聖徳太子の宮があった場所で、奈良時代に整備された伽藍です。夢殿の本尊の観音菩薩立像は、聖徳太子と等身との伝承もあります。これを楽しみにしていた学生もいたようですが、三日違いで拝観はかないませんでした。残念。
中宮寺で菩薩半跏像を拝観したのち、バスに乗って法起寺へ。法起寺では、706年に建てられた三重塔と、平安時代の制作になる十一面観音像が主な見学対象となりました。創建当初の伽藍の姿を想像しながらの見学です。
法起寺から法輪寺まで、秋の奈良の風情を楽しみながら、約十分間のハイキング。法輪寺の霊宝館では、飛鳥時代後期から平安時代を中心とした仏像を拝観し、この日の見学が終了しました。
「巡検」の授業も、今回で五回めとなりました。入学直後には文化財を前に何を見れば良いのかわからなかった一回生も、だんだんと自分なりの鑑賞の仕方が身に付いて来たようです。