教育専攻科

専門的力量を持つ、
教育実践者を目指して

教育専攻科は、教育学に関する専門的な事項を教授し、その研究を指導することを目的としています。本学教育学部でも教職を目指す学生に専門的な技術を獲得できるよう、多彩で豊富なカリキュラムを用意していますが、学部教育の段階では実践感覚を理論的に整理するには難しいかも知れません。そこで本専攻科では、学部での学びを基礎として、より広範かつ綿密な追究ができるよう、教育学・心理学の各領域にわたる多様なカリキュラムを用意しています。本専攻科では、従来異なる学問対象として理解されることが多かった他の分野との関連性についても相互に幅広く学ぶことで、諸領域にわたる学際的な視野を兼ね備えた教育実践者の養成を目指しています。学部教育で醸成される豊かな実践感覚を大切にしながら、より学問的に高度な教育・研究を進めるために2005年4月に開設され、専攻科生の学びをサポートしています。この間輩出した修了生は、本学専攻科で身につけた専門性を教育現場で発揮しています。

メッセージ

教育専攻科長 小山 敏子

本学が富田林市志学台に開設されてから半世紀が経ちました。一学部であった大谷女子大時代から四学部となり共学化された今日に至るまで、本学の教職課程で学んだ卒業生たちが各校種で活躍し、実習校訪問などでうれしい再会をすることも多くなりました。

現在、H29年に告示された学習指導要領の改定を受けて、各校種で順次全面実施が行われています。情報化や国際化、そして貧困など、子どもたちを取り巻く環境はここ数年で大きく変化してきました。また新型コロナによる混乱が続いた2020年は児童生徒の自殺者が増加し、心理面のケアが急務と言われています。現代の教員には、授業力のみならず、このような様々な状況に対応できる力が求められています。そして未来を担う子どもたちの可能性を広げ、確かな学力を身につけた人材育成を目指すには、教員自身が自己研鑽を行うことが必要不可欠です。

本学には「教育専攻科」という一年間の教育課程を設置しています。学部卒業後のさらなる「専門性と実践力」に磨きをかけるための学びの深化や、すでに教育現場で活躍されている先生方の「変化していく社会の新たなニーズに応える」ための学び直しが可能となるカリキュラムを設置しています。また、専攻科を修了することで、幼稚園、小学校、中学・高等学校(英語・国語)の各種の専修免許状を取得することができます。

専攻科では、一昨年度から集中講義をさらに増やし、現場の先生方が在職のまま学べるようなカリキュラムを整備し、みなさんの学びの深化・学び直し・専修免許状の取得などを全力でサポートします。

教育目的

教育専攻科は、教育における専攻分野のより専門的な研究および実践能力を育成することを目的とする。

アドミッション・ポリシー(入学者受入れ方針)

教育専攻科は、教育に必要な豊かな人間性と強い使命感を有し、理論に裏打ちされた高い専門性と実践力を備えた人材の育成を目指します。

求める学生像

  1. 学部での学びに基づいて論理的思考力と表現力を持っている。
  2. 専門分野を究め、専修免許を取得しようという意志をもっている。
  3. 学校教育に強い関心があり、幅広い教養と高い専門性を獲得することによって自らの実践力を高めようとする強い意欲をもっている。
  4. 自律的に研究を進め、様々な人々と協働して積極的に課題に取り組もうとする態度をもっている。

4つの学びの特徴

一人ひとりのこどもに対する深い理解の力
学校生活への適応問題について専門的立場から、子ども一人ひとりに対する深い理解がもてるよう、教育臨床に関する専門的知識や技術の修得に力を入れます。
総合的な指導力
横断的・総合的な課題に対して適切な指導ができるよう、担当教科とかかわりのある学際的領域について幅広く学びます。
すぐれた授業を作り出す力
教科指導についていっそう深く学び、各分野の最先端の理論や技術など新たな知見の獲得を通して、質の高い授業実践力を育成します。
生徒指導の力
学級指導、生徒指導、進路指導等においてすぐれた指導力を発揮できるよう、ガイダンスやカウンセリングの知識・技術の修得に力を入れます。

科目紹介

広げる教育に必要な様々な領域を幅広く学びます。

学校教育の理論と実践を学びます。

教育学特講Ⅰ
急激に変化する社会の中にあって、学校教育には様々な課題があり、教育対象である幼児・児童・生徒も、その家庭背景も含めて非常に複雑化、多様化しています。こうした現状において、教師には子どもたちに対する的確な理解力と確かな指導力が求められています。本講義では、学校現場で起こる様々な場面を研究し、実践的対応力を身につけるとともに、教員採用選考テストで問われる教員としての資質や能力について学修します。
教育学特講Ⅱ
本授業では、「主体的対話的で深い学びのためのグループ技法」「学校におけるICTの活用」「配慮を必要とする幼児・児童・生徒に対する理解と支援」「保幼小の連携・接続」など現在の学校教育の課題が学びのテーマです。理論に加え、先進事例や多様なとりくみに学びながら、「調べる」「まとめる」「発表する」「意見交流する」を組み合わせて学んでいきます。

支援教育など新たなニーズにも応える力をつけます。

教育臨床特講
学校や教育の場面で起こるさまざまな問題を取り上げ、分析・解明し、児童・生徒、教師、学校、保護者、地域社会の人々にさまざまな支援を行っていこうという立場に立ちます。つまり教育に関する問題の解明と、カウンセリングや教育相談を中心としたさまざまな問題解決のための援助をテーマとして、多様な切り口から教育問題について議論し、考えを深めます。
学校教育学特別演習
現行の教育実践の理論的基礎を検討し、その意義について考えます。また、発問や板書の方法など、教育指導技術のあり方についても考え、目的に応じた適切な教育方法について提案できる力を培います。その他、授業に不可欠な教材・教具・情報機器・デジタル教材の利用や有用な活用方法、管理の効率性についても考え、実際の授業へ展開する力をつけます。
教職研究特講
教育改革が進む中で、「新たな学び」を支える教員の養成が急務となっており、そのキーワードは、教職生活全体にわたって「学び続ける教員」です。本講義では、魅力的な授業を実践できる【授業づくりのプロ】、共感的に子どもを理解し支援できる【子ども理解のプロ】、活気ある学校づくりができる【学校づくりのプロ】の養成をねらいとして、実際の学校の教育活動に活かせるよう、豊富な事例を取り入れ、教職生活全体にわたって学び続けることのできる資質能力を養成します。
特別支援教育特講
障害のある子どもの実態把握、個別の支援計画の作成、保護者との連携、チームアプローチ等について実践的に学びます。発達障害(LD・ADHD・高機能自閉症等)、知的障害、肢体不自由等の子どもとの関わりや支援実習を通して、個別の指導・支援計画の立て方や指導・支援の方法を実践的に学ぶこと、及び、障害のある子どもの保護者の悩みや心情等を理解することを、この授業(演習)のねらいとしています。

深めるここから、どんどん深く学んでいきます。

自己表現や基礎教育の実践的指導を深めます。

表現論
「表現すること」は、すなわち「生きること」と同義であると考えられています。この授業では、描画材や粘土などを使った絵画・立体制作に加え、ICT機器を使ったアニメーション等の動画制作も経験します。また、美術館等での鑑賞活動にも取り組みます。このような活動を通して、「自己の内面」に向き合い、「自分らしい表現を追究」することをねらいとしています。
教科教育法特講Ⅰ
国語科授業の基礎・基本と令和の日本型学校教育に向けてGIGAスクール構想にも対応できるような教育方法を一緒に研究していきます。教科書教材をより発展させたダイナミックな授業を構想し、授業方法の引き出しを蓄積します。国語教育に関する視野を「広げ」、ことばの教育の教材研究を「深め」、主体的・対話的で深い学びを目指す教師力と授業力を「高める」授業です。
教育心理学特講Ⅰ
心理学を活かした教育分野における支援アプローチに触れ、子どもの発達支援に関する実践力の向上を目的とした授業です。具体的には、文献講読を通して多様なニーズをもつ子どもたちへの発達支援の実際やその過程について学びます。また、教育分野で適用される支援アプローチを自ら体験し、現場で使える心理学の知見を活かした専門的技能の獲得を目指します。
教育社会学特講
学校内外の教育事象を社会との関わりから捉えなおすことで、自らの視野を広げ、教育に対する考え方を深めることを目的とした授業です。扱うテーマは教員問題、教育と格差、ジェンダー、国際化など、多岐にわたります。講義形式により知識の確認・定着を図りつつ、受講生によるプレゼンテーションやディスカッションを通し、「対話的」で「深い学び」を進めています。

高める学びの集大成。指導力を高めます。

教育技術や実践力を高めます。

教育課程特講
教育課程の基本事項について学ぶとともに、現代的課題に対応できる力を身につけることを目指します。具体的には、教育課程の法制度的位置づけや歴史的変遷について理解することに加え、昨今重要視されるカリキュラム・マネジメントの観点から、教科横断的な教育課程のあり方、ICT機器や各種ソフトウェア活用のあり方について実践を交えながら検討していきます。
教職をめざす専攻科生を支援する、各種センターを設置
教員採用試験対策として各種サポート等を行う「教職教育センター」に加え、研究・研修・相談支援を結ぶ拠点である、幼児教育分野での「幼児教育実践研究センター」、及び特別支援教育分野での「特別支援教育実践研究センター」を設置。各センターは学部生、専攻科生の学びの場としても活用されています。

その他の開講科目

教育実践研究Ⅰ
教育制度や理論に関する知識を身につけ、社会状況や社会制度を関連させて、現代の教育問題について説明し、意見を述べることを目標とする。
教育実践研究Ⅱ
学校支援ボランティア等の体験を通して、子ども理解を深め、学校教育の課題を学ぶ。学校現場の諸課題について、体験したことや見聞きしたことを交流することにより、自分が教員になった際に活用できる実践力を身に付ける。
教科教育法特講Ⅳ
図画工作科の指導者における、求めている資質や能力はどのようなことなのかや、材料や用具の指導方法など、教育現場で遭遇するであろう疑問について考えていく。受講者同士のプレゼンテーション、ディスカッションを通じて追求し、理解を深めていく。
教科教育法特講Ⅱ
算数教育の教材研究を自分で行えるようになるための、基礎的知識と基本的技能の修得を狙いとする。実践力を養うために、教壇に立つことを想定して算数的活動を自ら体験する。
教科教育法特講Ⅲ
深みのある教材研究を行い、ねらいの明確な学習指導案を作成し、子どもの実態を視野に入れた模擬授業形式のプレゼンテーションを行う。なお、社会科のなかでも特に「歴史」分野を中心に学び、地域資料の重要性を理解し学ぶ。
●教育方法学特講
●教育心理学特講Ⅱ
●比較教育学特講
●保育内容研究Ⅰ
●英語教育学特講Ⅰ、Ⅱ
●英語学特講
●英米文学特講Ⅰ、Ⅱ
●日本文学特講Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ
●日本語学特講
●漢文学特講