文学部からのお知らせ

【日本語日本文学科】卒業生の教育相談主事 小林美佐子先生が来てくれました!6/25(水)

イベント

日本語日本文学科では、毎年さまざまな分野のプロフェッショナルをお呼びして講演会を行っています。今年は本学科の卒業生、小林美佐子さんに「教育現場のお悩み相談室」というタイトルでお話を伺いました。

学部・大学院で日本文学を研究された小林さんは、その後、中学校教員として勤務しながら臨床心理士の資格を取得されました。中学校教員であり、心理カウンセラーでもある小林さんは、現在、小学校・中学校を中心に、子ども・教員・保護者を対象とした相談会や説明会で活躍されています。

今回のテーマは、大きく分けて次の二つです。

1.しつけと学校教育

2.いじめへの取り組み

1.しつけと学校教育

しつけは、子どもが社会や集団の約束・きまりを学び、自立していくために大切です。

家庭でしつけられる食事の作法やトイレの使い方などがそうですが、学校教育においても重要で、集団生活におけるルールや、集団のなかで活躍する力、自分の感情をコントロールする力を身に付けていきます。

教育現場では、学習支援の必要な児童・生徒が増えています。ある調査によると、公立の小・中学校で全体の6.5%、通常学級に2〜3人は支援が必要、という結果が出たそうです(文科省、2012)。

支援が必要な子どものなかでも、「感覚過敏」という特性は、教育現場で気付かれにくい。これは、感覚器官(目・耳・鼻)から入ってくる色・形・騒音・香料の匂いなどの情報が多すぎると、パニックになる症状です。こうした子どもは、家庭や教室で「努力が足りない」「集団に入れない」などの周囲の誤解を招きやすく、結果的に学習意欲や自己肯定感の低下を招きます。

「感覚過敏」の子どもがいるクラスでは、常に黒板をきれいに拭き、黒板の周りの掲示物の量を極力減らし、電気の点滅や机・椅子・扉のきしみにも注意を払うことが必要。

支援の必要な子どもに情報を伝えるときは、「一つずつ」「具体的に」「短く」「十分な間を取って」「穏やかに」話すのが大切。命令文(~しなさい)、否定文(~しないと~できないよ)、あいまいな指示(ちょっとやってみて)ではなく、肯定文(~しましょう)で具体的に(○分間でやりましょう)話す。

また、子どもの行動を「好ましい」「 好ましくない」「 許しがたい」の三つに分け、「好ましい」行動はすぐに褒め、「好ましくない」行動は無視し、「許しがたい」行動を防ぐために具体的に指示をし、うまくできたら褒める。

そうした指導のコツを教わりました。

2.いじめへの取り組み

「授業中、AさんがいきなりBさんの頭を叩き、Bさんが泣いた」――これは「いじめ」?

文科省の定義によると、「いじめ」に該当します。一定の関係にある相手に苦痛を与えた場合、程度や回数、期間に関わらず「いじめ」となることを知っておく必要があります。

「いじめ」を防止するには、教員が日頃から子どもを見つめ、子どもに変化があったらすぐに動く。担任一人で抱え込まず、主任や校長などに報告し、チームで対応する。子どもの中にも、「いじめ」を傍観するのではなく、止めようとする子も必ずいるので、そうした児童・生徒が育つよう、日頃から「褒める」ことが大切になる――そうしたお話でした。

「文学」「教育」「臨床心理」と三つの分野を修めた小林さん。今後は「哲学」を学びたいと意欲を語って下さいました。

「専門分野を深く掘り下げるのは当たり前。しかし、穴を深く掘るには横幅がいる。学問を深く掘り下げるには、隣接する学問領域に立ち入りながら、幅を広げてゆく必要がある」――日本語・日本文学にとどまらない、広い見識を身に付けたいものです。

小林先生、是非また来てください。