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人間社会学科発 「ある臨床心理士からのミニ情報」21

2018/07/18

 21回:トラウマ記憶?

 最近、何気なしに「もうトラウマになったわ」というセリフをよく耳にします。この時、トラウマという表現は、何か本人にとって嫌な出来事があったことを意味しているようです。つまり、記憶の1つでしょうか?しかし、もともとトラウマ記憶と定義される材料の出来事というのは、一歩まちがえれば、命の危険があるぐらいの出来事を指しています。つまり、日常的に「あの人から怒られてトラウマになったわ」「お願いしたけど、断られた、もうトラウマやわ」などは、厳密な意味ではすべてトラウマではありません。もちろん、怒られているとき、「殺されるのでは?」と脳裏によぎるほどの恐怖体験があるなら、トラウマ記憶にはなりえるとは思います。

 単なる嫌な記憶とトラウマ記憶の違いは、時間が経過してもなかなか変化するか否かといえるかもしれません。通常、仕事のミスでも友人関係のトラブルでも、トラウマ記憶まで形成されていなければ、時間の経過とともに一部が忘却されたり、記憶が残っていても「今、思い出したら、当時は辛かったけど、あれはあれですんだことやし」と衝撃度が弱まっていることがほとんどです。これに対して、トラウマ記憶はいくら時間が経過しても、過去のことが現在のように再現される、あるいは解離・麻痺状態というべきまったく自覚することができない両極端な状態といえます。トラウマ記憶まで形成されている場合、自然治癒の可能性は全くないとはいいませんが、適切な治療が必要になってきます。最近、話題になっているPTSDや解離性同一性障害(一昔前は、多重人格と表現されていました)は、トラウマ記憶からはじまっていると表現しても過言ではありません。

 トラウマまでいかないにしろ、何か「怖い」と思う対象や場面を克服する方法は、いろいろありますが、現在のところ、もし回避している状態なら、この回避をやめることが一番です。例えば、飛行機に乗ることが怖い人は、おそらく、飛行機に乗らない行動(これが回避です)をしつづけている間は怖さも持続していきます。怖くてもいいから、飛行機に実際乗ることが問題解決の近道です。ただし、飛行機に乗るシミュレーション体験であったり、飛行機から見えるような風景写真を見たりするだけでも、少しずつですが、効果が出てくることもあります。

(人間社会学科教員:小西 宏幸)

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